どーも。今日は。会社のコンピュータでウィルスチェッカの最新版をさっきインストールしたろばQです。いやぁ、タイムリな質問が届きました。
コンピュータウイルスの事について聞きたいんですけど (中略)、今日、Hapyy99 の資料読んだんですけど、あれって、無害なんじゃないですか? もしかして、ただ花火が出て、それがみんなに広まっていくだけなんじゃ……。
質問者: エツコさん
ちは。1999年5月に自宅のパソコンにウィルス疑惑が持ち上がり、ウィルスに対する認識を新たにしたろばQです (結局いませんでしたが)。プログラマ的視点で見れば自己増殖も、他データへの寄生も、コンパクトにコードを組むと言うテーマも興味が無いと言えば嘘でありますが、しかし、やっぱりウィルスとは共存出来ないのであります。
まず、コンピュータ・ウィルスとは一体なんであるかご説明しましょう。その正体はプログラムです (マクロとかそういう区分は置いときましょう)。つまりデータです。物理的にどうこう、と言う事ではありませんので、ウィルスに感染しているパソコンに素手で触っても大丈夫です。……いや、時々いるんですよ、なんかアメーバみたいな奴が回路とかを溶かしているような所を想像するような人が。まぁ、気持ちは解らんですが、そういう事はありません。奴等はデータです。
では、普通のプログラムとどう違うか? ウィルスの特徴として寄生と増殖の 2 つがあげられます。って言うかこの 2 つの能力が備わっていれば、別に破壊工作とかしなくても、もう、立派なウィルスと言えましょう。ファイルとか、データとか、消したりしなくてもウィルスであり、敵です。まずはこのウィルスの 2 つの特徴について、動きを説明しましょう。
まず、寄生ですが、ウィルスは他のデータやプログラムに勝手にくっつきます (一見見分けがつかないことも有りますし、このときデータやプログラムを破壊する事もあります)。寄生する対象はかなり色々で主に config.sys や boot area、凶悪な物は BIOS などに寄生しますが、まぁ、書き込み可能な全ての場所に寄生する可能性があると考えておいた方が無難です。逆に言えば書き込み不可能な状態の所に感染したりはしないので CD などの ROM には感染しません (元から入ってれば別だけど)。
次に増殖ですが、これはデータが読み出された時に自分も複製する、寄生先のプログラムが実行された時にそのプログラムに便乗して自分を複製する、などがあげられますが、最悪起動する毎に、とか、ディスクを読み込んだ瞬間などもありえますので、もう、感染したら何かする度に増えるかもしれない、と思っておいても良いくらいです。ちなみに Internet からの進入はダウンロードとメールの添え付けファイルが主で、Text だけのメールを開いて、いきなり感染する、と言う事は今の所ありません (が、HTML メールが受信可能で Active X が無制限の場合、メールを開いたら感染、と言う可能性が無くもないので注意です)。
ここで話しを一旦戻して何故ウィルスは悪とされているかを検証してみましょう。先ほど述べたように、寄生して、増殖するのがウィルスであり、データを消したりしなくても悪なのか、どうか、です。
試しに 10KByte で、メールを使って感染するウィルスを考えてみましょう。このウィルスはメールを受け取った相手が添え付けファイルを開くと寄生先のアドレス帳から 2 人の相手に向かって自分を複写してメールを出し、増殖します。ただそれだけで、データを消したり、書き換えたりはしません。一見メールが 2 通送られちゃうだけの極めて無害なウィルスに見えます。
さて、普通の人が平均 1 日 2回メールチェックをするとして、1 日目にはこのウィルスは 2回 * 2 通で 4 通に増えます。1 週間でこれが 1万 6384 通。1 通 10 KByte なので 160MByte に成っています。更に 1 週間で 2 億 6843万 5456 通、容量は 2.5 GByte。15 日目で 10 億通を超え、更に 1 日で 40 億。このウィルスを放って置くと16日目に (Internet 人口を全世界で仮に 10 億人として) 全世界の人に平均 4 通の無意味なメールが届き、翌日には 16 通。64、256、1024 と際限なく増えていきます。20 日目で一回目のメールチェックで 2048 通のメールが届き、2回目には 4096 通のメールが届きます。しかもメールを開くと 1回目は 4096 通、2回目は 8192 通のメールがウィルスによって送信される事になり、送受信の容量は 1 日で 180Mbytes、事実上使えないのと一緒どころか、コンピュータは機能を停止するかも知れません。各プロバイダもこのメールを送るだけで精一杯に成り、仮にメールを受け取らなくても常に混んだ状態になますし、恐らくこうなる前にギガ単位のメールを抱え込んでコンピュータが機能停止し、利用者は Internet に接続出来なく成ります。これで解かる通り、使用者の意思に反して勝手に増殖すると言う事は有害なのです。
ちょっとオーバーな気がしないでもないですが、しかし、決して冗談ではなく、ウィルスは、単に増えるだけで深刻な被害をもたらします。更に、それがデータを消したり、書き換えたりするとなると、もう、大変です。って言うか非常に性質の悪い犯罪です。ちなみに、ウィルスを作らなくても、ウィルスと知って他人にデータを伝染させるのも同様のことであり、ウィルスと知らずに感染させちゃってもやっぱり相手の印象は悪くなります。っな訳でウィルスチェッカをインストールしてウィルスのチェック / 削除をする事は、ネットで人と付き合う上で礼儀ですので必ず行うようにしてください。大体知らない間に犯罪の片棒担がされたと思うと目茶目茶に腹が立ちます。
さて、ウィルスの話はここまでですが、ウィルスに似たような物にチェーンメールと言う物がありますのでこれも解説しておきましょう。これはこのメールを多くの友達に転送してくださいと書いてある物で、例えば不幸の手紙がその代表です。まぁ、不幸の手紙だったらそんな物無視する人が多いのですが何々と言うウィルスが流行っています。これに感染しない為には何々してください。そして、このメールを転送し、友達にも知らせてあげてください。と言う、一見善意を装った悪質な文面で届けられる事が多々あります。この場合も先ほどのウィルスと同じように、Internet 上で無意味なメールが飛び交い、大変な事に成りますし、親切でメールを転送した善意の第 3 者が犯罪の片棒を担がされてしまうと言う点で極めて悪質と言えましょう。
こんな、悪質でつまらない犯罪に巻き込まれない為には、正しい知識を持って行動を起こす必要があります。そして、あなただけでなく、あなたの友達がこれらの犯罪に巻き込まれないように、この文章をメールにして 5 人の友達に……ありゃ?