1999年03月のある日、デフラグおじさんは自転車を整理しなくなった。おじさんが来ない。違法駐輪された自転車は私道から溢れかえり、よもや自転車を停める事は不可能かと思われた。
何日か経った。しかし、デフラグおじさんは、来ない。
自転車は荒れ放題。でも、おじさんは、来ない。
ある日、自転車のカゴの中に紙切れが入っていた。ここに自転車を停める事は違法であり、1999年04月01日以降は撤去するとそこには書いてあった。さらに数日して看板が立ち、違法駐輪のゾーンと撤去自転車の収容先、罰金などが書かれた。そして駐輪禁止マークが地面に描かれて行った。
さらに数日が経って、僕はデフラグおじさんを見た。デフラグおじさんはデフラグおじさんではなく、削除おじさんになっていた。しかし、駅の美化に勤めるというその行為に変わりはないし、大体今まで私道に違法駐輪してきた僕が悪いのだ。僕は翌日から歩いて駅に行くようになった。
デフラグおじさん。結局あなたに感謝の言葉は言えませんでした。今は自転車を撤去する人になり、自転車の利用者からは嫌がられる存在となりました。が、誰があなたを責めるでしょう?
最後に、あなたに、この言葉をささげます。
この、国家権力の犬ッ!
……うそうそ、いや、感謝してます。本当に。